九夜・世界の王の末裔


「コートニー! コートニー!」
ライクッグにある星の神スリィジアの教会、スルーグ。そこで少女を抱いて必死に名前を呼び続ける青年が一人。その傍らの少年はぼうっとその様子を見ている。
「なにかしたのか、セラティヤ」
「うん? 僕が? 僕はなーんにも。僕はただキミたちのお望みのモノを渡しただけだと思うんだケド」
セラティヤの言うことはもっともで、確かにビナーは手に入れたかった。けれど宝石を手にしただけで人が気を失うなんてめったに聞かない。納得はいかないが、このままセラティヤを睨み続けているだけというのも埒が明かない。
「使うなって言われてたけど、ここで使わないわけにはいかないか」
はあ、と呼吸を落ち着かせ、マントの下に下げた小さな荷袋からなにやら取り出す。
「なーあに、それ」
「……神にも近しい権限だよ」
リュミナスが見せたのは、胡桃ほどの大きさの、獅子の紋章が描かれたコインだった。

獅子が二頭、互いに背を向け尻尾を絡ませている。右の一頭は前足を高く掲げ口を大きく開いている。左の一頭は胸で前足を組み、瞳を瞑っている。その周りを縁取るのは樫の枝と葉。その紋章は誰が見ても間違うことはない、古代の栄華が幕を閉じた大戦時代を越えてもなおその名が与える影響力は現存するどんな国の国王よりも強い。世界最初にして最後の全統一を成し遂げた大国、ハイエルンドの王、フランチェスカの紋章だ。
「ちょっとちょっとちょっとー! そんなモノ見なかったことにしていーですかー!」
「だめ。お前は一番近くにいたんだ、誰より働いてもらう」
「いやー! カンベンして!」
フランチェスカの紋章は、その権限により全ての民がその紋章を持つ者の為に他を犠牲にしてでも働かなければならない。初代にして唯一の国王が強い力を持った魔術師だったこともあり、魔術によってその効果は保証されている。ちなみにこの術は分析不可能という研究結果が百年毎に公表されている。そもそも分析しようにも、当の紋章が入手できないのだ。世界に二つだけ作られたという紋章はどちらも大戦時代のごたごたで行方不明になってしまったからだ。その一つを今なぜリュミナスが持っているかといえば。
「こればっかりはメルメ師様々だね。帰ったら嫌だけど思いっきり感謝しておこう」
当たり前だがメルメが持たせたのだった。
――ああそうだ、これ、持ってけ。でも使うなよ。よっぽど、どっちかが死ぬ寸前くらいになってやっと使えよ。
そう言われて持たされたものを見たときには心の底から驚いた。そしてこんなものを使うような事態になんて出会わないだろうとも思った。けれど今はまさにそんな時ではないのか。大急ぎで教会の前を通りすがろうとした郵便屋に馬車の手配をさせた。一番早くロロット・リィゼに着ける馬車をと頼んで紋章を見せると、運送ギルドはとっておきとばかりに有翼馬が引く馬車を準備してくれた。
「これなら明朝には着きやすよ、フランチェスカの紋にかけて」
「ありがとう、助かった。お礼は改めて」
「なんの、フランチェスカの紋を拝めただなんて、ご先祖様にも子々孫々にもあの世で何万回と自慢ができやすから。それだけで十分でございやす」
「……ありがとう」
有翼馬の引く馬車はあまり揺れない。それでも念のためと街中から上等の毛布が持ち寄られ、コートニーをやわらかにくるんで乗せる。リュミナスは何度も何人にも礼を言うと、セラティヤを捕まえて馬車に乗った。
「ちょ! 僕関係ない!」
「俺から見れば十分関係者なの、何もできなくても手伝ってもらうからな」
「無茶言われてる!」
無茶は承知と馬車を走らせる。有翼であるから空をすらりと飛んで走るわけだが、リュミナスには初めての空の旅に感激する余裕もなかった。

有翼馬車を用意してくれた男に言われたとおり、リュミナス達は出発した翌日早くにロロット・リィゼに到着した。事前に連絡をもらったのだろうか、学舎となっている城の中庭に広く着陸地点が準備されていて、既にメルメやオリヴィア、エルゼリオも庭の隅に待機していた。馬車はすうっと音も振動もなく降り立ち、すぐにリュミナスはコートニーを抱きかかえて転がるように飛び出した。
「メルメ師! コートニーが!」
「わかってらあ。それより、なに連れてきた」
腕を組んで不機嫌そうに馬車を顎で示す。そういえばと思い出して腕だけでセラティヤを引っ張り出した。半日ほどの空の旅にすっかり疲れて半分寝ている。
「んー、なにもう朝? ついたの? じゃあもう僕帰っていーい?」
相変わらず緊張感のない顔と声で辺りを見回し、ふと一点で動きが止まる。
「め、めめめめめメル? ……ああそうか、メルかあ……そりゃフランチェスカの紋章くらい持ってるよねえ」
「人の顔見るなり溜息とは挨拶じゃねえか。久しいな蛇の。やっぱりお前がなんか噛んでたな」
どうやら顔見知りらしい。しかも決して仲が良いというわけではなさそうな。けれど二人の仲を詮索している暇はない。
「どういうことよ、リュミナス。説明して。コートニーはなぜ意識を失ってしまったの」
「それより一旦コニーを部屋へ運んでベッドに寝かせよう。暖期とは言え宵明けはまだ寒いから」
ここを出たのはほんの半月ほど前だった。その間にすっかり疲れ果て、元々細い身体が不健康に痩せてしまったオリヴィアが痛々しい。それでも気丈にコートニーの倒れた原因を知りたいと意欲的なところはまったく衰えてないらしい。少し安心した。エルゼリオも相変わらず、髪こそ短く切りそろえられたとは言えオリヴィアほど外見に疲労があまり表れておらず、心遣いにも余裕のある優しさが見える。
「そうだな、部屋は空いているんだよね」
「ええ、コートニーが前に使った部屋がまだ空いているからそこをそのまま使えばいいわ」
「じゃあ、……そのまま連れて行ってあげて。くれぐれも気をつけてね。リュミ」
協力して運ぼうかと言おうとしたが、リュミナスが手を離しそうにないことをすぐに悟って言い換える。リュミナスは言われるまでもなく優しく、水の入った薄いガラスの平皿を運ぶようにそっとコートニーを城の中、寮になっている内の一部屋に運び込み、そっとベッドに寝かせて自分もそのまま床に崩れる。後を付いてきたオリヴィアとエルゼリオがどきっとしたように走り寄る。
「リュミナス!」
「大丈夫だよ。ちょっとまだ動揺してるみたいだけど、それだけだから」
それでもコートニーの手は離さない。両手でしっかりと、小さな手を包み込む。
「――ライクッグのスリーグに行ったんだ。コートニーは星の森の出身だから星の神を信仰している。それで誘ったんだ。そこでさっき連れてきたあの男の子、セラティヤに会ってね。ビナーは教会にあった。それをセラティヤから渡されて、コートニーはそのまま意識を失ったんだ」
「ビナーを、渡されて?」
「それだけで意識を失ったっていうことかい」
「ああそうだ。セラティヤがその前に、コートニーを星の姫だとかなんだとか、よくわからないことを言っていたけれどその時にはコートニーは怯えるばっかりで気を失う前兆らしきものなんかは特に見られなかった」
「一体どういうことかしら」
少女の意識を奪った青い宝石は今だコートニーの手の中に握られたまま。原因が分からないなら対処のしようもない、と三人が黙り込んだままでいると、それまでその場にいなかったはずの声が響いた。
「そこまでわかってりゃすぐ気づくだろ、原因なんて。犬のは連れてかれたんだよ、サチュラに」
見ると部屋の扉に寄りかかってセラティヤの首を抱え絞めているメルメの姿があった。身長が頭二つ分くらい低い相手にそんなことをされては、息苦しさよりも体勢の辛さが勝っていそうで、セラティヤの顔はそれまでのへらへらとした表情から一転、本気で苦しそうに喘いでいる。
「サチュラに連れて行かれたって、どういうことだいメルメ師」
そんなセラティヤを無視して、とにかく早くなんとかしなくてはという気持ちがリュミナスの中を走る。意識していなければメルメに掴みかかってでも納得できる理由をとっとと聞きたかった。そして早くコートニーの目を覚まさせたかった。
「落ち着け、恵みの。こればっかりは流石のオレでも予測の範疇外だったからこれでも多少は反省してんだ、手短に分かりやすく説明するからちょっと待て」
ふう、と息を整えて部屋にいる全員を軽く見回す。メルメの名前に興味を惹かれて付いてきそうになった他の魔術師たちをひと睨みで追い返した瞳は、今はひどく悲しげな色を湛えていた。
「お前らは知らないのかもしれんが星の神の下にはとあるシステムが存在していてな、スリィジアが天に輝く星々を司っているのは自明のことだが特に名のある星には同じ名前の精霊をその守護として遣いにしているんだ」
「正しくは、星霊と呼んであげてねメルメル。本質的に大差はないけど精霊と一緒にすると怒るから」
「特にサチュラが、だろう。蛇の」
抱えられたままのセラティヤが横から補足するが、メルメはさらりと流して次の説明へ移る。
「そして星の巡り年はそのまま星霊の力の強さとなり、主立ってサチュラの遣いとなる星霊はその都度変わっていく。そうした中でスリィジアの加護の強い森や街から、巡り年が変わる毎に一人の娘が祝福代わりに星霊とサチュラの元へ差し出される、それが星の姫だ」
「星の姫は最初こそ人の中でスリィジアの意思を伝えてくれるいい神子役となるが、強すぎる星の加護や星霊の遣いとして召し上げられた分若さを常人よりも保つことができるため、他人とのすり合わせが辛いものになっていく。そうして数年もたてば精神に問題が見られるようになり、その頃には巡り年も変わるからお払い箱、よくてそのまま星霊の遣いとして次にその星霊の巡り年になるまで酷使されるか、さもなきゃ喰われるかだな」
「星の姫は大体生まれた時には既に候補かどうかが決まっている。巡り年に関係なく全ての星霊の姫候補は常に何人か存在し、そいつらは皆一様にその候補となった星の加護が異様に強いのが特徴だ。例えば犬のはサチュラの加護が非常に強かった。サチュラは凶星、終焉と静寂を司る星。星の姫候補として常人よりも優れた能力を持つ一方でサチュラの加護があまりに強すぎて凶運の持ち主になった。一本筋が通るんだよな、そう考えれば。やけにサチュラの加護が強いのは見えていたし、あまり良い運気に恵まれずに育ったこともすぐわかった。でもまさか星の姫候補だったとは思いも寄らなかったな。流石にそんな奴にはオレも初めて会ったから」
「ああちなみにコイツは星の姫とは別の、星霊の使役な。姫とは別の役割を持ってるらしいがあんまり詳しいことは知らん。というか話してくれねえから知りようがなくてよ。とりあえずヒトじゃないから拷問でもなんでもかけて好きなことを好きなだけ聞き出せばいいと思うぜ。そう簡単にくたばらねえだろ、五千年以上生きてんだから」
セラティヤを部屋の真ん中に突き出してようやくメルメの口が止まる。長い説明と理解しにくいその内容に皆がぽかんとしていた。星の姫という存在。その行く末。コートニーがその運命を辿っているということ。目の前に放り出された少年が人でないということ。五千年という長い時間。
「ちょ、ちょっと待って五千年って、どうしてわかるの」
「五千年前にも同じ姿で会ったからな。まあその時はオレの姿が今とは違ったけど、その頃にはもう本来の自分の姿ってのがわからねえようになってたから仕方ねえ。ていうか今聞くところかそこ」
メルメは確かに魂の状態で召喚され、魂の状態ということは生きていないということなのだろうが、彼の名前が魔術書に書かれているのは千年程前の時点で、だ。五千年も前、もしくはそれより前となれば資料すらろくに残っていない。それほど昔から存在していた魂だというのか。
「犬のを助けたければ関係ないことは後で聞け。今はそれよりもしなくちゃいけねえことがあるだろう」
その姿に似合わない鋭い眼光でセラティヤを見つめる。十三程の少年に睨まれた彼は、「いやん」などと相変わらず人を食ったような調子で尻を床に付けたまま後退る。が、その肩を後ろから掴む手が伸びる。
「そうだね。師の言う通り。手がかりはこの人だけなんだから。どういう手段を持ってしても、話を聞かないといけないね」
エルゼリオだった。相変わらず口元には穏やかな微笑みすら浮かんでいて、捕まったセラティヤは言い様のない恐怖がじわじわと掴まれた肩から侵食してくるのを感じる。どうしていいかわからず、やっぱり結局「あはははは」と笑うしかないのだけれど。
「ちょっとナニこの子。ココにもヒトじゃないのが混じってるよっていうか怖い怖い怖い無理無理僕ナニも知らないよ下っ端だものー! 本当は姫を迎えに来るのは鳥さんの予定だったのが、別の用事ができて出かけたとこに姫が来ちゃったから急遽僕に役目が回ってきただけだし僕はサチュラの意思のまま動くだけだからどうしたら姫を助けられるかとかむしろ知らないしー! ってイタイイタイイタイイタイ」
微笑みを崩さないエルゼリオの手に力が入ったようにも見えないのに何故か異様に痛がるセラティヤに首を傾げつつもオリヴィアが口を挟む。
「連れて行ったと言っても、コートニーの身体がまだここにあるということは連れて行かれたのは精神、もしくは最悪魂よね。精神までならメルメ師の力添えさえあれば成功しそうな術は古代の資料にあるから組めるとしても、魂ごと持っていかれてしまっているなら……難しいわね。魂を扱う術は禁忌とすらされているほどレベルが高いのだもの、一日やそこらではなんともしようがないわ」
「でも魂が身体を離れてしまったら二日と経たずに死んでしまう。なんともできなくてもなんとかしなくちゃならないだろう!」
リュミナスの叫びに応えたのはメルメ。
「残念だが魂ごと持っていかれてる。連れて行かれたのが昨日の午後と言ったな、事態は一刻を争うぞ」
「そんな」
やりきれない思いに泣きそうな顔で悲鳴を搾り出す。誰か、嘘だと言って欲しい。けれど望みの言葉はかけられず、代わりにやはりメルメの声が突き放すように訊ねてくる。
「――なあ、恵みの。なぜお前はそうも犬のが死んでしまうことを信じようとしない。ついひと月やそこら前に会ったばかりの娘だろう? なにがお前の気持ちをそこまで動かす」
なぜ。どうして。そんなもの、これ以上の理由はない。
「ほんの短い間しか一緒にいなくても、コートニーを恋しいと思う気持ちが本物だからです、メルメ師。この子はこの小さな身体全部で一生懸命に生きている。素直に自分に向かう言葉や気持ちを受け止め、心全てでそれに応えてくれる。真っ直ぐな信念と、それを支える前向きな希望を両手にしっかり抱えている。その姿が俺の心を捕らえ、愛しい気持ちを形作ったからです」
メルメの強い瞳をじっと見つめ返して恥かしいくらいの愛を伝える。二人は数秒睨み合っていたが、先に動いたのは意外にもメルメだった。
「ふは、恥かしいなお前。よくもまあそんなこっ恥かしいことをオレの目を見たまま言えるもんだ。面白いなやっぱり。おい蛇のに銀の。やるぞ。魂世界へこいつを連れて行く」
「え、ちょ、マジですかメルメル」
「なんで僕まで呼びつけるんですか」
セラティヤとエルゼリオがそれぞれに嫌そうな返事をするが、メルメは一向に気にせず、それどころかそれまで以上に意志の強い権力者の笑い顔で振り返る。
「お前ら、この恥かしい愛の告白を本人に聞かせてやろうってえ心遣いのひとつもねえのか。たまにはオレだって気まぐれで世界を動かしたくなる時だってあんだよ。それにどうせオレの還る場所だ、ちょいと道を掃除してきてくれたっていいじゃねえか。なあセラティヤ、エルゼリオ」
メルメが名前を呼んだ瞬間、セラティヤとエルゼリオの身体が強張った。
「キミが名を使うほどのコトなのかい、これは」
「言っただろう、気まぐれだ。それにオレは犬のを助けるために呼ばれたんだ。状況が変わろうと目的を達成するまでは還れねんだよ」
にやりと笑ったメルメに、負けたよとセラティヤが呟くのとエルゼリオが溜息を吐くのはほぼ同時だった。
「どうして僕まで」
「お前の精霊の力が必要だからだよ。魂を扱うには人の組み立てる魔術だけじゃあ力が足りねえ。昔ならフラムの力をもらうとこだが、今はお前がいるからな。フラムを呼ぶ必要までねえだろ」
「……どうして」
「そんな目立つ容姿してりゃ、すぐわかる」
メルメとエルゼリオの間に緊張が走るのを見たオリヴィアはどきりとした。普段は温厚で優しいエルゼリオがこんな風に他人に厳しい視線を投げかけることなんて滅多にないのに。
「参ったな……右目はちゃんと隠してたのに」
「宵闇のは誤魔化せてもオレは誤魔化せんよ。お前はフラムにそっくりだ」
メルメの手が伸びて顔の半分を覆った包帯がしゅるりと解かれる。恐る恐る開かれた瞳は、いつか見た灰色ではなく、美しい銀色の光を放っていた。
「エル、その瞳……!」
「ごめんねヴィア。もう隠し通せそうにない。これで君に嫌われても、僕は大事な友達のリュミが幸せになれるなら、満足なんだ。今回の件が終われば、僕の身体をどう使おうと君の自由にしてもいい。それで君が夢を叶えられるなら、もっと僕は幸せだから」
悲しそうに優しく微笑むエルゼリオは、凍るような恐ろしさを抜き出した精霊女王のように美しかった。いやそれどころか精霊女王よりももっと高貴かもしれない。
「エルは、精霊だったのね。加護を持っているとか、そんなレベルじゃあなかったのね」
オリヴィアの呟きには感情が見えない。
「いや、正しくは精霊じゃあないよ。でも――僕の一族の名を聞けば理解してもらえるかもしれない。できれば言いたくなかったけれど」
そこまで言われれば聡明なオリヴィアにはぴんときた。この世で一番精霊に近しい、今や生き残りがいるかいないかというくらい世間から隠れ生きていると言われている、なにより誰より高貴な一族。
「フランシス・フランチェスカ……」
それはセフィロスシリーズを創った古代の魔術師。歴史書にも伝説にも名が挙げられる、メルメと双頭を成す偉大なる魔術師。そして古代以前の世界を統一した最強の国、ハイエルンドの建国者であり唯一絶対の王。その血を引く青年は、静かに恋人に頷いた。君の想像通りだよ、と。
「さあそっちの和解はその辺でいいだろ。続きは後でにしろ時間がねえ。いいか、今からオレが指示することを全員守れ。さもねえと犬のを助けるどころか死人が増えるぜ」
やる気は十分、楽しそうにメルメが動き出し、そしてこの物語が伝説にまで語られるようになった一番の理由になる大掛かりなコートニーの救出劇が始まったのだった。